Silkscreen Artist Noboo Kawaguchi

#6
シルクスクリーンアーティスト
ノブー・カワグチ
数々のアーティストがひしめくニューヨーク。この地で制作活動をしたいと憧れるクリエイターは数知れない。 そして実際に訪れ、滞在し、制作を続ける事は計り知れないエネルギーと意志を必要とする。 今月は日本でグラフィックデザイナーとして活躍した後、全てを白紙に戻しNYでまたゼロからキャリアを築こうとする日本人シルクスクリーンアーティストNobooにそのきっかけ、スタイルを築いた経緯、そして現在の活動についてインタビュー。
m: monocomplex
N: Noboo

m: まずアーティスト名なんですが、なんてお呼びすれば良いですか?

N: ノブーです。男か女か分からなくしたかった、っていうのがあって。私の作品よく男の人っぽいって言われるんですよ。だからもういっそのこと男か女か分からない様にしてまえと思って。出身が大阪なんでやっぱりお笑いが好きなんですよ。おもしろいことが好きなんで、名前にしてもそれを反映したかった、っていうのはありますね。Nobooみたいなちょっとへんてこりんな名前が好き。結構アーティストに性別って重要でよく言われるんですけど、男っぽいって言われるのは私はプラスに受け止めてます。
 
m: 今の活動、作品作りを目指したきっかけについてお聞きしたいんですが、そもそものクリエイティブな方向に進むきっかけになったものっていうのはなんだったんでしょうか?

N: 鍵っ子やったんで家で一人遊びするのがすごい好きで、そこから来てると思います。姉がいるんですけど真逆で、姉が外に遊びに行ってる間私は家で絵を描いてる、っていう感じでしたね。グラフィックデザイナーになろうと思ったのは横尾忠則を見たからなんですよ。横尾忠則を知った、って言えばいいんですかね。
高校三年生の頃、私は普通科に通ってたんでそれまで普通に受験勉強してたんですけど、横尾忠則に出会ってギリギリで進路を変えたんです。お父さんお母さんごめんなさいみたいな。

m: 勢いでいったれみたいな?(笑)

N: もう私の人生、勢いだけかもしれません(笑)。思い立ったら動かないと後悔するので。後悔するのがほんとに嫌で、悩んでるくらいやったら動いちゃえっていうような。

m: グラフィックデザイナー時代はどのような仕事をされてたんですか?順調にキャリアを積み上げていたわけですが、それを捨ててニューヨークでアーティストになろうと思った理由は?

N: 媒体は新聞・雑誌・ポスターとか、あとビルボードですね。
辞めた理由は……自分で作ってるその……広告物に関して不満を持ち始めたからです。会社員でいることに対しての不満はなかったんですけど、自分の作っている広告物を自分の作ったものって呼びたくなくなったんですよ。最後の方はアートディレクターやったんですけど、それでもクライアントの意向によって、自分の作っていたものが独りでに転んで行く感覚があって。会社にいるとやっぱり時間に制限があって、もうちょっと手を加えたいと思ってもデッドラインがあって入稿しなきゃいけないとかあったんで。
自分の好きなものを満足のいくまで作りたくて、という感じですね。
東京にいた期間ファインアートから離れていたので、会社辞めてまた原点に戻ろうと思ってニューヨークに来てParsons New School(美術大学)でまたオイルペインティングとかドローイングとか、広く全般的に習いました。日本でも美術学校でしたけど教え方は全然違って、日本だと否定から入るんですよ。「ここをこうしなさい」「ああしなさい」って言われるんですけど、ここ(アメリカ)だとどんな変な作品を作ろうが「ここは良い」「あそこは良かった」って言ってくれて。まぁ一長一短ですけどね。両方良いです。

m: 否定される事も良い?

N: 良いですよ。私自分を追い詰めていくのが好きなタイプなんで。昔っからそうやったんですよ。追いこんで追いこんで、一つ一つ乗り越えて行くのが楽しい。だから忙しいのが好きなんですね。
今の自由な制作環境でも結構計画を立てるほうで、大まかなデッドラインを自分の中に作るんです。いつまでに何をしよう、っていうのを逆算して行って追い詰めていく。コレ出来てないやん、コレどうしよう、って。
こっちに来てからやりだしたんですけど、でっかいカレンダー買ってきて一年分をぶわぁ~って部屋に貼って、一日終わったらバッテン付けてるんですよ。それで日にちが段々無くなって行くっていう状況に自分を持って行く。でも、計画どおりに行かないことがありますけどね。根が怠け者なんで(笑)。怠け者を奮い立たせる為にバッテンつけてます。

m: 今のスタイルが出来上がったのはいつ頃なんですか?

N: 昔から力強い作品が好きで、自分もインパクトの強い絵を描いていたので……いつからだろう。気付いたらこうなっていました。
シルクスクリーンを始めたのはまた横尾忠則の影響で……。Parsonsでファインアートを専攻している間にいろいろなことを試して、シルクスクリーンで色が「パキーン」て出るのが綺麗だったり、一番自分の作風に合ってると思って。
色は特に作る時にこだわってます。色と色、版と版を組み合わせる時にギャップが生まれてくるので、その中もデザインしていますね。2色なんだけど2色の中にバリエーションがあるような……。例えば黄色があって、もしこの上から黒を被せたとしたら重なってる部分が普通の黒でも盛り上がって見えるというか、違いが見えるんですよ。それを利用して光の当たり方によって見え方が違う様に作っています。

m: 作品のコンセプトやインスピレーションはどこから?

N: 私の作品に共通しているのは人間の滑稽な、愛らしくて憎みきれないような部分を描くという所。それをそれぞれのシリーズがカテゴライズするというような形です。前回はその中の"欲"。
それが今のウェブサイトに載っている前回(2010年3月)の個展のタイトルでもある、"Intense Giggles"っていうシリーズです。
それと音楽、特にロックとか好きで、野外フェスティバルとかよく行ったりしてて。泥まみれになりながら。そういうのが出てるかもしれませんね。なんかエネルギッシュなものが好きなんです。私自身がアツいんだと思います。暑苦しいというか(笑)。
今、次回の個展のことを考えているんですけど、次は人間の欲望とかからはちょっと離れた、人間の泥臭さを描こうかなと構想しています。

m: では今後の目標は。

N: 止まらない事。止まって悩んで後悔するくらいなら、動き続ける。そこは変わらない。

ノブー・カワグチ 大阪府生まれ。中の島美術学院、東京デザイナー学院卒。グラフィックデザイナー、アートディレクターとして東京を拠点に活動。ポスター、新聞、雑誌広告などを手がける。2007年、活動の場をニューヨークに移し、本格的に作品制作を開始。(Web Siteより抜粋)
http://www.nobookawaguchi.com/

リタッチャー
浅田瑞恵
書家
山口碧生
ベーシスト
山本章弘
フィルムディレクター
元吉烈
LOVE THE MATERIAL
NY
シルクスクリーンアーティスト
ノブー・カワグチ
シンガー
竹谷摩耶
テーラー
諏訪晋平